2023年反響のあった記事特集
2011年8月に創刊して以来、早くも12年が経過し、おかげさまで2023年最後の「かわら版150号」を節目として迎えることができました。
afterコロナの生活に慣れてきていますが、インフルエンザ感染者も増加しており、年末を控え、引き続き注意が必要だと感じています。一方で、2022年2月に始まったロシアによるウクライナの軍事侵攻は終結の見通しがなく、イスラエルとハマスの戦闘も激しさを増しており、これまで以上に平和が求められる年になりました。
さて、12月号の恒例ですが、かわら版の一年を振り返り、反響のあった記事を集めてみました。皆様が良いお年を迎え、来年は一つでも何か目標をタツ(辰)成できる年になりますようにお祈り申し上げます。
~ 「俺もゴッドファーザー」 ~
スイスの取引先の方と食事をしている時のことでした。自分はゴッドファーザーなのだと打ち明けられました。イタリア系のマフィアの家系の出身かと思いましたが、隣にいた方も、実は俺もゴッドファーザーだよと話してくれました。
マフィアなのかと聞いたら笑われてしまいましたが、ゴッドファーザーは日本では馴染みのない習慣のことでした。
スイスだけでなく、欧州に古くからあるもので、もともとは、キリスト教の洗礼に立ち会ったり、教会生活の親としての役割を担っていたようです。両親に何かあった時に子供を世話する後見人になる仕組みで、友達や親戚に子供が生まれると、この子のゴッドファーザーになってくれないかと頼まれるそうです。ゴッドファーザーになると、誕生日やクリスマスにもプレゼントを用意したり、定期的に会ったり、電話で話したり、子供が育っていく過程を見守ります。子供が両親以外の大人と交流を持つことで、社会的な勉強の機会にもなっているようです。
ところで、スイスには、スイスドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4つの国語がありますが、このスイスの取引先はスイスドイツ語圏にあります。スイスの方には怒られそうですが、スイスドイツ語はドイツ語の方言で、スイスドイツ語で、ゴッドファーザーはゴッテ(Gotte)、ゴッドマザーはゴッティ(Goetti)、ドイツ語ではパテ(Pate)、パティン(Patin)と全く違う単語です。外国人が勉強できるドイツ語は標準語ですので、スイスドイツ語をマスターするのはとても大変です。
~ 「アメリカのニッチトップ」 ~
アメリカ出張で滞在したホテルで朝食を食べたときのことです。日本では見慣れない卓上型マシーンがビュッフェのテーブルにありました。
OKボタンがあるので、押してみたところ。
青く光るマシーン内部で練り物が絞り出されていました。
ベルトコンベアを通過して、こんがり焼かれてパンケーキが出てきました。
興味があったのでホテルの人にお願いして蓋を開けてもらいました。
パンケーキの生地が入った袋の端が金属の棒に固定されており、ロールで巻かれることで、中の生地が絞り出されるものでした。
皿を置いてボタンを押すだけの全自動マシーンです。気になる味は…、アメリカですので、勝手に甘い味付けを想像していましたが、プレーンタイプで美味しかったです。
隣には、はちみつがあり、パンコーナーのバターやクリームチーズなどを使えば好みの味にできます。
これはひょっとして、グローバルニッチトップ製品かなと思うのでした。
~ 「親愛なるフロインドリッヒ グルースさん」 ~
当社ではドイツ語圏の取引先も多いですが、日々のやりとりは英語で連絡をしています。
以前は取引先の担当者がドイツ語しか話せないことも珍しくなく、ドイツ語でやりとりをすることもありましたが、時代の流れとともに英語が主流になっていき、それに合わせてドイツ語を知る当社の社員も少なくなりました。
スイスのドイツ語圏の取引先に、快い対応をしてくれるPatricがいます。ある時、若手社員が部品について彼とやり取りをしているメールを見つけたところ、"Dear Freundliche Grüsse"宛てでメールが返信されているのに気付きました。
なぜ彼の名前がPatricからFreundliche Grüsseに変わったのか、メールを読み返してみるとドイツ語の署名のメールがその理由でした。
ドイツ語で「Freundliche Grüsse」は英語の「Best regards」,
日本語では、メールの末尾につける 「よろしくお願いいたします」の意味になります。
「親愛なる よろしくお願いいたします 様」 というなんともヘンテコなメールがPatricには届いたわけですが、彼はそのことには触れず、いつも通りの快い対応をしてくれました。
Patricには申し訳なかったですが、ドイツ語の単語を知る貴重な経験となりました。
これからもドイツ語の署名付きでメールは届くことでしょう。「フロインドリッヒ グルースさん」には気をつけなくてはいけませんね。
~ 「えっ、ドライブスルー?」 ~
アメリカ出張中に取引先の方と車で食事に出かけました。郊外を車で走っていると、少しお金を引き出したいので銀行に寄りたいとのことでした。
銀行が見えてきました。車を駐車するのかと思っていると
乗車したまま銀行のATMの前に停まり、窓を開けて
ATMを操作し、お金を引き出していました。
これは、ATM版のドライブスルーです。都市部ではないようですが、郊外の銀行では多いようです。安全のためなのか、利便性のためなのか分かりませんが、車社会アメリカを感じた瞬間でした。
~ 「タイの電車の見慣れないピクトグラム」 ~
タイに出張に行きました。バンコク市内にBTSという高架鉄道が走っています。朝と夕方は交通渋滞があるので、5~10分間隔で頻繁に電車の往来があるBTSには助けられます。電車には優先席があり、日本では目にすることがないピクトグラムがありました。右から幼い子供、妊婦、体が不自由な方、高齢者の順ですが、最後は包帯に身をくるまれたような絵があります。
席に目を向けるとお坊さんの絵がありました。答えは僧侶でした。
現地のタイ人スタッフによると、タイでは仏教徒が多く、僧侶は敬われる存在で、以前はお金を使うことが禁止されていたようしたが、最近は電車に乗ることも増えているようです。また、女性に接触してはいけないようで、隣に女性がいたら、席に座わらないようです。お坊さんが満員電車に乗車する時は大変ですね。